2014年8月24日日曜日

「古民家リノベ講座」追加で、蕨生地区調査を行いました


木造建築講座と山村づくり講座の連携による「古民家リノベーション事業プランニング講座」が進行中ですが(第1回第2回の様子はリンク参照)、改修提案の対象となる築90年の古民家がある「蕨生(わらび)地区」について、空き家マップの作成や改修ニーズの把握のための追加調査をすることになりました。

猛暑日が戻ってきた8月20日~22日の3日間、延べ25人の講座参加者および学生スタッフ等が参加して、以下の3つの調査を実施しました。





〇第1部「中山の八十八地蔵」実地踏査
蕨生地区の真ん中にある標高150mほどの還流丘陵「中山」には、同地区の紙漉き産業が最も盛んで居住者数も多かった大正末期に奉納された「八十八地蔵」が配置されています。これらを巡る道を歩きながら、昔の村の暮らしぶり、中山での子ども達の遊び、里山利用の履歴などについて、地元の歴史に詳しいFHさんにご案内いただきました。





〇第2部「古田邸で考える」座談会
改修提案を行うF邸を使って座談会形式のワークショップを行いました。蕨生地区の自治会長・区長を経験された11名の方々にお集まりいただき、蕨生地区が紙漉きで栄えていた頃のお話、現在の地区の問題点と今後の活性化について(特に空き家改修や移住者受け入れについて)小グループに分かれたワークショップ形式でご意見をお聞きしました。途中から地元の元気な若手2人も加わってくれました。





〇第3部「蕨生の空き家マップ」調査
蕨生地区の地図を6ブロックに分け、2~3人グループとなって建物を一軒ずつ確認して歩きながら、空き家の現況調査を行いました。居住者が不在となって長い家は、屋根が崩れ庭が荒れるなど共通の気配があります。ただ居住者は居ないものの家財道具が残してあり、電気も通っていて、時どき手入れをしに帰っておられる様子の家屋も散見されました。



また同じ蕨生地区内でも、傾斜や道幅などのアクセス条件(車道が通っているか)等の物理的条件や、家族構成・病気事故・通勤先の都合などの社会的条件によっても、住み続けられる可能性が違ってくることが、ヒアリングを続けるうちに分かってきました。どこからを「空き家」とするか(ご本人達の意志を考えると)難しい線引きだと思いました。



とはいえ、時どき「ここは子どもがいる家だな」と見える家に出会うと、気持ちが明るくなります。かつての蕨生地区のように、野山で子ども達が遊びまわるような風景が取り戻せると良いのですが…。今回の「古民家リノベ事業提案」が地区の皆さんの願いを少しでも実現して、地区活性化の一助になればと思います。



参加者の皆様、地区でお世話になった皆様、ありがとうございました。今回の調査結果をとりまとめて共有し、次回(9月20日)は「リノベ事業」のプランニング作業を進めます。


記 山村づくり講座 教員 嵯峨創平