今日のテーマは作業道の評価です。
作業道を開設したものの崩壊してしまうケースが見られますが、
丈夫な作業道をつくるためには、何が必要なのか岐阜県森林研究所の臼田研究員に
解説して頂きました。
路網の崩壊箇所は主に路面、切土法面、盛土法面
路体、排水施設の5か所です。
このうち盛土法面や路体の崩壊については、
施工時の土の締固めの有無が、崩壊の引き金となります。
土は、空気、水、土粒子から成り立っていますが、
水が多すぎると、液状になってしまい、逆に水が少なすぎると、
土粒子同士の粘着力が働かずに、ぱさぱさになってしまいます。
土には、土粒子同士の粘着力が最大限発揮され、
乾燥密度が最も高い含水比のポイントが存在し、それを「最適含水比(%)」、
そのときの乾燥密度を「最大乾燥密度(g/cm3)」と呼びます。
林道工事では、密度試験を行い締固めの評価を行いますが、
作業道では明確な基準はありません。
しかし、しっかりと締固めを行わないと、水が染み込んだり、
強度が弱い状態の路体になってしまいます。
午後は、外で締固めの試験を行いました。
80cmの深さまで穴を掘り、締固めの有無による、
路体強度の違いを調べました。
以下の3つの試験箇所を用意しました。
試験区① 「表層のみ機械による締固め」
みんなで穴を埋めていき、表層のみバックホウのクローラ部分で、
5回往復して転圧しました。
試験区② 「30cm厚で順次機械による締固め」
30cm厚でバケットで順次転圧しながら、穴を埋めていきました。
表層は、試験区①と同じくクローラで5回往復して転圧しました。
試験区③ 「30cm厚で人力による締固め」
30cm厚で人の足で順次転圧しながら、
穴を埋めていきました。
それぞれ締固めを行った後、「簡易動的コーン貫入試験」を行いました。
「簡易動的コーン貫入試験」とは、質量5kgのハンマーを50cmの高さから自由落下させ、
貫入量10cmに要する打撃回数をNd値として記録するものです。
簡易に計測でき、路体内部の強さを測定できることから、
作業道の締固め評価に適しています。
目安としては、Nd値が5以下だと締固めが不良で、
盛土の崩壊につながりかねません。
結果です。
試験区① 「表層のみ機械による締固め」
貫入深さ h(m) |
Nd |
0.11 | 5.7 |
0.21 | 3.8 |
0.34 | 3.2 |
0.44 | 1.9 |
0.56 | 1.7 |
0.64 | 7.1 |
試験区② 「30cm厚で順次機械による締固め」
貫入深さ h(m) |
Nd |
0.11 | 6.7 |
0.21 | 5.0 |
0.32 | 2.7 |
0.43 | 4.3 |
0.55 | 5.0 |
0.66 | 4.8 |
0.76 | 8.6 |
試験区③ 「30cm厚で人力による締固め」
貫入深さ h(m) |
Nd |
0.14 | 2.1 |
0.27 | 1.5 |
0.40 | 2.4 |
0.50 | 3.8 |
0.60 | 3.0 |
0.73 | 3.2 |
0.83 | 8.6 |
という結果になりました。Nd値が5以下の箇所を締固め不良と捉えると、
やはり、表層のみの転圧では、路体内部までしっかり締固めできていない
ことが分かります。
30cm厚のバケット転圧では、ムラはあるものの、
路体の下部まで締固めができています。
一方、人力では、全体的に締固め不良のようです。
接地圧では、クローラと人の足ではあまり変わりませんが、
踏み固める面積が小さいので、ムラが出たのかもしれません。
今回分かったことは、
盛土をつくるときは、しっかり下から一定の厚さで転圧していくことが大事!
ということですね。
これで実習は終了です。
試験を通して、締固めの重要性を感じることができました。
今回の実習は、予備試験を始め、
森林研究所の臼田さん、和多田さんに大変お世話になりました。
ありがとうございました。