2014年6月30日月曜日

作業道の開設において、転圧による土の締固めがとても大事!

エンジニア科2年生の授業です。
今日のテーマは作業道の評価です。

作業道を開設したものの崩壊してしまうケースが見られますが、
丈夫な作業道をつくるためには、何が必要なのか岐阜県森林研究所の臼田研究員に
解説して頂きました。


路網の崩壊箇所は主に路面、切土法面、盛土法面
路体、排水施設の5か所です。


このうち盛土法面や路体の崩壊については、
施工時の土の締固めの有無が、崩壊の引き金となります。





土は、空気、水、土粒子から成り立っていますが、
水が多すぎると、液状になってしまい、逆に水が少なすぎると、
土粒子同士の粘着力が働かずに、ぱさぱさになってしまいます。


土には、土粒子同士の粘着力が最大限発揮され、
乾燥密度が最も高い含水比のポイントが存在し、それを「最適含水比(%)」、
そのときの乾燥密度を「最大乾燥密度(g/cm3)」と呼びます。


林道工事では、密度試験を行い締固めの評価を行いますが、
作業道では明確な基準はありません。


しかし、しっかりと締固めを行わないと、水が染み込んだり、
強度が弱い状態の路体になってしまいます。




午後は、外で締固めの試験を行いました。
80cmの深さまで穴を掘り、締固めの有無による、
路体強度の違いを調べました。


以下の3つの試験箇所を用意しました。


試験区① 「表層のみ機械による締固め」


みんなで穴を埋めていき、表層のみバックホウのクローラ部分で、
5回往復して転圧しました。


試験区② 「30cm厚で順次機械による締固め」


30cm厚でバケットで順次転圧しながら、穴を埋めていきました。
表層は、試験区①と同じくクローラで5回往復して転圧しました。

試験区③ 「30cm厚で人力による締固め」


30cm厚で人の足で順次転圧しながら、
穴を埋めていきました。


それぞれ締固めを行った後、「簡易動的コーン貫入試験」を行いました。



「簡易動的コーン貫入試験」とは、質量5kgのハンマーを50cmの高さから自由落下させ、
貫入量10cmに要する打撃回数をNd値として記録するものです。


簡易に計測でき、路体内部の強さを測定できることから、
作業道の締固め評価に適しています。


目安としては、Nd値が5以下だと締固めが不良で、
盛土の崩壊につながりかねません。


結果です。

試験区① 「表層のみ機械による締固め」


貫入深さ
h(m)
Nd
0.11 5.7
0.21 3.8
0.34 3.2
0.44 1.9
0.56 1.7
0.64 7.1


試験区② 「30cm厚で順次機械による締固め」


貫入深さ
h(m)
Nd
0.11 6.7
0.21 5.0
0.32 2.7
0.43 4.3
0.55 5.0
0.66 4.8
0.76 8.6


試験区③ 「30cm厚で人力による締固め」

貫入深さ
h(m)
Nd
0.14 2.1
0.27 1.5
0.40 2.4
0.50 3.8
0.60 3.0
0.73 3.2
0.83 8.6

という結果になりました。Nd値が5以下の箇所を締固め不良と捉えると、
やはり、表層のみの転圧では、路体内部までしっかり締固めできていない
ことが分かります。


30cm厚のバケット転圧では、ムラはあるものの、
路体の下部まで締固めができています。


一方、人力では、全体的に締固め不良のようです。
接地圧では、クローラと人の足ではあまり変わりませんが、
踏み固める面積が小さいので、ムラが出たのかもしれません。


今回分かったことは、
盛土をつくるときは、しっかり下から一定の厚さで転圧していくことが大事!
ということですね。


これで実習は終了です。
試験を通して、締固めの重要性を感じることができました。

今回の実習は、予備試験を始め、
森林研究所の臼田さん、和多田さんに大変お世話になりました。
ありがとうございました。