2013年9月13日金曜日

施業プランナーたるもの林業経営のための年間事業量を把握せよ

経営のための年間事業量を把握し、施業提案せよ

 施業プランナー育成研修11回目、今回の講師は森林研究所普及企画係の下野さんです。
研修内容は   1.年間必要事業量の把握
          2.補助金の算定法法
          3.施業提案書の作成方法   

 「林業経営」とは林地を生産基盤として林産物の生産・販売などをする営み です。

 経営を行うためには・・・・・・
 


 計画=目標である。 であれば目標設定が必要。

 
 目標設定上重要なこと
   1.現状を把握すること
   2.すべての人のベクトルが同じ方向を向いていること
   3.常に良いものに替えていく努力をすること 


・直接費(現場作業にかかる経費)
・間接費(直接費、作業費以外の経費)・・・プランナー経費は間接費


 さて、ここで演習問題

 ・森林技術者3名、人件費16,000円/人日(社会保険料率22.1%)、勤務日数200日/年、
 ・プランナー1名、年収480万円、240日/年、プランナー雑費60万円/年
     こうした作業条件で、損益分岐点となる必要事業量をどう確保するか?


 各自が電卓片手に、計算します。この操作もパソコンで簡単にできますが、手計算すること
で、各項目の意味合いを深く知ることができます。

 

 造林補助金486,100円/ha、搬出予定材積65m3/ha、ヒノキは12,000円/m3、スギ7,000円
/m3、チップ2,500円/m3、木材運搬費2,500円/m3などの条件で計算すると、

  ・・・・・・損益分岐点になる事業量は 3,470m3、必要生産性は5.8m3/人日、想定間伐面積
      54haという結果になりました。


 ここで補助金についても考えてみる。


 ・標準伐期齢未満の人工林 → 対象森林の1/2以上の間伐を実施
 ・標準伐期齢以上の人工林 → 対象森林の1/3以上の間伐を実施

 補助採択基準   ・補助申請者は原則、森林経営計画作成者
             ・補助対象区域は原則、森林経営計画区域内
             ・面積基準 0.1ha以上、間伐や更新伐は5ha以上かつ10m3/ha以上

 補助金の算定  ・補助単価(標準単価、間接費)
            ・査定係数・・・森林に対する重み付け、90~170%
            ・補助率・・・40%(国30%、県10%)
                        ・・・・・・・・・・・森林経営計画樹立森林の補助率の算定
                                170/100×40%=68%(実質補助率



 
 
 
 
 
 


 



さて、施業提案書(プラン書)を考えてみましょう。

 ここでは 施業面積10ha、樹種ヒノキ、55年生、400m2プロット内64本、間伐率(本数率)30%
平均胸高直径22cm、平均受講17m、搬出率(利用率)55%、終了比数0.88の林分について提案
書を作成します。
 標準単価は「車両系作業システム」で、補助率40%、査定係数170、市場手数料20%で計算。

 採材する「細り」は岐阜県森林研究所が作成している「細り表カード(下の写真で中央)」を利用
します。



木材売り上げの予測では、
 たとえば木材がA材ばかりでなく、当然にB材やC材も入る。B材、C材が混ざっているときの
単価の目安は、B材ならA材の6~7割の単価、C材ならB材の5割の単価と考える。



 しかし、すべてA材として提案書を作成してみても、所有者還元金が意外と少ないことに衝撃を
感じる研修生も、・・・・木材価格の低迷はあるもの、生産段階でのボトルネックを見つけ出せば、
もっと改良できるポイントも見つかる。

 施業提案書をつくることが目的ではない。

  提案書は顧客に説明し、集約化を実施するためのツール。

       作成過程でプランナー自身が現状に気づくことが重要。

 「提案書を作って、実践し得て、分析して、改善してゆく」ことが重要なのです。




 本日の話は施業プランナーだけでなく、職場の管理職の皆さんに知って欲しいことばかりでした。
施業プランナーはキーマンですが、施業プランナーだけいても実践できません。経営者や森林技
術者との連携・協力があって、初めてその能力が発揮されるものなのです。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。