2013年6月28日金曜日

地域調査法演習:今年は「地元学」をがっつり学びます


山村づくり講座1年生の授業「地域調査法演習」は、自然科学系の基礎知識とフィールドワーク、社会科学系の調査法とフィールドワークを、それぞれを専門とする教員が担当して、地域を総合的にとらえる方法を学ぶ授業です。

第1回の内容は自然科学系の方法(6月10日レポート)でしたが、その後、社会科学系のアプローチとして今年度は「地元学」の発祥の背景・基本的な考え方・フィールド実習・まとめ方・応用発展の形まで丁寧にやりました。


第2回では、美濃市大矢田地区の2軒のお宅を訪ねて、それぞれのご自宅や仕事場でじっくりとお話をうかがいました。Uさん宅の裏庭と樹林はまるで「里山植物園」のように草花や樹木を植えて手入れをされています。近くの小学生が学びにくることも多く、身近な植物の名前の由来や、樹木の薬効や生物との関わりなど懇切に教えていただきました。




 
Iさんは大矢田に生まれ育って、ご先祖から引き継いだ山林経営を仕事として来られた方です。この地区で紙漉き業が盛んであった頃は、燃料としてのクヌギやアカマツを販売していました。その後はマツタケ生産の最盛期を経験しましたが、やがて衰退。ここ50年ほどシイタケの栽培と卸売業をされています。プロならではの興味深いお話を沢山うかがうことができました。





第3回は、生涯学習講座との合同で開催しましたが(「地域を訪ねて学ぶ」レポート参照)、この時は「人に出会う地元学」という簡易版の方法を使って、大矢田地区の中心部でまち歩き調査を行ないました。これらの活動で集まった情報を「情報カード」に整理して集積し、「集落資源マップ」などにまとめていくことで、地域づくりの基礎資料として役立てることができます(今回は方法の紹介のみでしたが)。

第4回では、大矢田でお世話になったUさん・Iさんのお宅を再び訪問して、学生たちが作成した「かべ新聞」風のまとめを報告し、成果物を贈呈させていただきました。地元学の精神は「地元の人が地元に学ぶこと」であり、私たちの役割は、その気づきやまとめをお手伝いすることにあります。両氏にとっては当たり前のことでしょうが、学生たちの視点でまとめた報告を喜んでくださいました。





この「地元学」をベースにした活動は、後期授業の「地域計画法演習」へと続きます。


記:山村づくり講座 嵯峨創平