2013年5月15日水曜日

「里山文化を伝える」展示開発プロジェクトがスタート

郡上市の明宝歴史民俗資料館は、知る人ぞ知る山村の生活用具の宝庫。国指定重要
有形民俗文化財の3,500点を含む約47,000点の資料を収蔵・展示する「地域の記憶」の
拠点です。これらの資料群を活用して、地域内各所に里山文化を伝える「分散型展示」
を作ろうというプロジェクト型授業が始まりました。

初回の5月15日は資料館の見学からスタート。クリエーター科とエンジニア科から合わ
せて8名の学生が参加しました。初めに資料館の成立過程と明宝中学校との関わりに
ついて館長の置田優一さんからお話を聞きました。昭和30年代末から、失われゆく民
具の収集展示と聞き書き活動を始めたのが、当時奥明方中学校の校長であった故金
子貞二先生と中学生たち。それが今の国指定文化財の基礎になっています。





















次に、明宝(小川地区)の山仕事の名人である末武東さんに解説をして頂きながら、
山樵・炭焼き・農具・養蚕・生活用具等さまざまな資料にまつわるストーリーに耳を傾け
ながら見学をしました。どの道具類も、樹種によって異なる木の性質や形状をうまく利
用しています。エンジニア科の皆にとっては山仕事の生き字引のような方から直接お
話を聞ける貴重な機会。みな熱心にメモを取っていました。





 


 
午後からは、明宝中学校との連携で計画されている「聞き書き」授業のための準備会
議を行いました。「ふるさと教育」を掲げている現校長先生のご理解もあって、総合的
な学習の時間を使って、かつて金子先生が主導した聞き書き活動の集大成である
『奥美濃よもやま話』の現代版を作ろうという計画が動き出しています。これは展示開
発のための基礎調査にもなります。

 
















この明宝プロジェクトは、今後1年間をかけて、明宝中学校の聞き書き活動を支援し
ながら「聞き書き作品集」を作り、明宝歴史民俗資料館をとりまく地域の方々と協働
しながら、里山文化の魅力を伝える「分散型展示」を企画制作していこうという活動
です。アカデミー内でも学科・講座を超えてさまざまな人が参加する活動になってい
くと思います。ご期待ください。


記:嵯峨創平 山村づくり講座