2013年5月30日木曜日

森林公共政策6回目 「伝統的工芸と高山市の取り組み」

エンジニア科・クリエーター科共通科目 「森林公共政策」第6回目
   今回は「地場産業・伝統的工芸と高山市役所の取り組み」を学ぶ。



 今回の講師は県庁商工労働部地域産業課の柴田さんと、高山市役所林務課の波多野さん。

 最初に柴田さんから「岐阜県の地場産業・伝統工芸品の現状と振興施策について」お話を頂き
ました。

 岐阜県の地場産業は上記写真のように「7大地場産業」がある。

 地場産業の製造出荷額は、岐阜県内の製造品出荷額の28%しか占めていない。岐阜県内の
製造出荷額は第一位がプラスチック、次いで食品、第三位が紙。


 地場産業の出荷額は少ないが、雇用の面で見ると事業所数の45%、従業員数の35%うぃ占め
雇用に貢献していることが分かる



 岐阜県の地場産業の出荷額は年々減少傾向にあり、この20年間に繊維は20%に、家具は52%
に、陶磁器は46%に、刃物は59%に落ち込んでいるが、紙の分野だけが91%と減少率が少ない。

 紙は特殊紙(耐熱性や耐摩耗性など)と段ボール類の製造が下支えしている。

 岐阜県の地場産業でもある「伝統的工芸品」はどうか。
  伝統的工芸品には全国で215品目指定を受けている。



 岐阜県では飛騨春慶(s50年指定)、②一位一刀彫(s50年指定)、③美濃焼(s53年指定)、
美濃和紙(s60年指定)、⑤岐阜提灯(H7年指定)の5品目のみ。

 下の写真のような見事な一位一刀彫を支え伝統工芸師とともに原材料供給が問題。
イチイ材の供給が問題なのです。


 柴田さんには、このほかに岐阜県が独自に認定する「郷土工芸品」や岐阜県が支援する事業、
商品・デザイン開発、②テストマーケティング、③販売力向上などについてもお話し頂いたの
です。


 さて、次は高山市農政部林務課の波多野さんです。
森林林業行政上、国は、県は、市町村はどのような役割や施策を講じているのかを、具他事例を
交えてお話し頂きました。

 高山市は全国の市町村の中で、最も森林面積が広く、200,656ha(森林率92%)。ちなみに市の
面積は217,767haと東京都とほぼ同じ大きさ。

 ここでは約200人の森林技術者がおり、そのうち飛騨高山森林組合の技術者が168人。

 森林の40.5%が国有林、民有林の37%が人工林


 市役所に権限委譲された業務などについても、①森林の土地所有者になった宗の届け出等、
②伐採及び伐採後の造林の届け出、③森林経営計画を説明。
 他に、県に権限があるが市町村に事務委任されている「保安林に於ける間伐の届け出」にも
ふれて頂きました。

 高山市の森林づくりの方向性は、環境財(保全する)と経済財(活用する)に分けて、施策を
多数打ち出しています。


 大きな柱は3つ。
森林を支える人、地域づくり、②安全なくらしを守る森林づくり、③木を生かした地域産業づくり
です。



 高山市では岐阜県の中でも、いや全国的にも先進的に多様な林業施策に熱心に取り組んでいる
地方行政機関です。

 木材が単に使われれば用のではなく、地元の存続にどのよにつながるかまで考えた有効な施策
が目白押し。しかし、スゴイです。


 合併後の人口減少、これは全国各地の課題でもあります。
その対応策も実施されています。


 今回の地域産業課も高山市林務課も、何もしないのではなく、「とにかく何かをする。」
そんな積極的な活動の中で、少しずつ効果が出てきているのです。

 今回も学生の今後に向けて、多くのヒントを頂きました。柴田さん波多野さん、お忙しい中
有り難うございました。

 以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。