2013年3月29日金曜日

『信州伊那 薪づくり、薪宅配研修』



  伊那谷へ「薪づくり、薪宅配」の研修に行ってきました。

 長野県伊那市高遠町の本社のほか、全国の営業所で薪ストーブの販売をしているDLD(ディーエルディー)さんのお世話になりました。

 DLDのバイオエネルギー事業部では、薪ストーブユーザーのための薪宅配事業をされています。原木の調達から薪割り、乾燥、宅配、料金請求と一貫した体制で取り組んでいます。その現場で実地研修させていただけるということで、今後、美濃地域での薪の宅配サービスに可能性かあるか検討するための基礎調査になればと思い伺わせていただきました。

 今回、とくにお世話になったDLDバイオエネルギー事業部の木平さまとは、昨年11月25日に開催された『山の駅 ふくべ』の薪づくりイベントで講演していただき、そのとき面識を得て、今年1月5日 名古屋市の金山勤労会館でNPO法人 地域再生機構主催で開催された『薪の楽交(がっこう)』の第1部 薪の教室【生産販売】で、『間伐材を薪で利活用 長野県DLDの薪宅配サービス』と題して講演された折にこの研修をお願いしたところ、ご快諾いただき実現しました。

      

 元々砂利置き場だったという広大な敷地に、カラマツ、アカマツ、ナラなど樹種べつに原木の山がいくつも有りました。この山はアカマツです。
 ビックリしたのは、原木を積んだトラックが入ってきて勝手に降ろしてそのまま出て行ってしまします。重量をはかるトラックスケールも無さそうだし、聞いてみると、「立米数は、搬入するひとの自己申告です」との答えでした。「大体、多めに積んで来てくれます」と…、顔の見える関係での信頼、ほっこりこころあったまりました。

      

 玉切りも体験させていただきました。持参したチェーンソーでカラマツの原木を45センチに玉切り、積みます。小一時間でこのくらいの山です。
 積まれた原木の山から手作業で1本1本落として、45センチ間隔に手鋸で印を付け、チェーンソーで玉切ります。「おまけと言って、長くするのは困る、ストーブに入らないから…」 体力も注意力も必要で結構大変な作業です。

      

 玉切った原木は、薪割り機で割りやすい様に積み上げておきます。

     

 次は、エンジン式の薪割り機でドンドン割っていきます。といっても中には直径45センチを越えるものも有り、移動するのも持ち上げるのも大変です。割り方も考えないとなかなか割れません。火持ちのことを考え、あまり細くなったり薄くならないように割ることがコツだそうです。
 薪割りの作業を一緒にしながら指導してくれたのは、昨年5月に恵那市中野方で開催された『木の駅サミット in 恵那』にも参加していた信州大学の学生田中さんです。お世話になりました。(写真は、地域の区有林を整備せれている方です)

      

 出来上がった薪は、こんな感じに積まれていきます。人がギリギリ通れる程のすき間を空けて南北に長く積んでいきます。DLDでいろいろ研究された結果、日光が均等に当たり、風通しもよく、この方法で薪は含水率20%以下に乾燥出来るそうです。

      

 午後は、宅配の軽トラックに同乗させていただき、薪の宅配研修です。
乾いている薪を軽トラックに積込み、薪ストーブユーザーの家をめぐっていきます。DLDの専用薪ラックにドンドン薪を詰めていきます。なるべく隙間のないように積むそうです。

      
      

 薪の計量方法は、この専用ラックの柱に付けてある白いポツポツの印をスケールにして薪の量をはかります。詰め込み作業前に残量を伝票に記入し、詰め込み後に詰め込み量を記入します。この方法は、DLDが独自に開発したそうです。アナログで、ユーザーさんとの信頼関係が有ってこそのやり方だと、とっても微笑ましく思いました。月末にこの伝票をユーザー毎にまとめ、ユーザーの銀行口座から振替て精算しているそうです。

      

      

 翌日は、伊那地域で活動しているNPO法人『森の座』の」代表西村さんとメンバー金井さんが間伐しているカラマツ林を見学させていただきました。

 伐っているのは金井さんです。

 この研修で、印象に残ったのは、
『若いひとの助けになればいい』と云われたDLD木平さんの言葉です。

 その、若いひとたちが、大きな事業体が匙を投げた森林を整備しています。
そこから出た用材にならない木をDLDが薪用に受け入れているのです。

 金銭的に合わない里山が整備され、森林所有者や地域住民は喜び、整備してガンバっている若い人たちにも少しお金が入り、続けていける動機付けになっていると感じます。
 でも、DLDは、儲かっていないようです。用材にならない部分は原木で6,000円/m3、45センチに玉切ったら7,000円/m3で買い取っているのですから…
これは、搬入者にとって結構いい買取価格だと思います。

 NPO法人『森の座』は、地域で活動している20人の若いひとり親方がゆるやかに連携してし、森林整備、地域環境整備、山間地域支援、間伐材製品開発などを行っている団体です。

 この研修で感じたことは、森林の整備は既存の林業や流通の関係者だけではなく、多種多様な産業や地域で活動しているこころ有るひとがつながることで、閉塞していると思われがちな林業にも明日が見えて来るということです。
 また、一見非力と見られがちなひとり親方や自伐林家など小さな林業者が連携することで、地域環境の保全や里山の整備のセーフティーネットになり得るということです。


最後に、
『若いひとの助けになれたらいい』

ぼくもそうあれたらいいなと思います。

 今回の研修でお世話になった、DLDの関係者の皆様、木平さま、信大の田中さま、NPO法人『森の座』の西村さま、金井さま、とても心に残る研修になりました。ありがとうございました。

森林文化アカデミー 山村づくり講座  2012年度研究生 ふじお


団体等の詳しい情報は下記URLをご参照ください。

DLD (ディーエルディー) http://www.dld.co.jp/
NPO法人 地域再生機構 http://chiikisaisei.org/
「木の駅サミット in 恵那」「木の駅プロジェクト」 http://kinoeki.org/