森林文化アカデミーの「林業再生講座」2年生が広葉樹の用材原木の勉強として、
広葉樹市場として全国的に有名な株式会社小林三之助商店と平野木材株式会社で丸太の取り扱いや価格などを学びました。
引率は講座主任の横井先生と、この講義担当のジリ(JIRI)です。
最初に株式会社小林三之助商店では、石井大三所長さんから、小林三之助商店の成り立ちや
天然広葉樹原木・銘木・天然針葉樹の売上高6億円、年間10,000m3の取り扱い材積など、様々な
項目についてお話をお聞きしました。
なんと、この会社には森林文化アカデミー第一期生の井上大輔さんも就職しており、久々にお会いして懐かしく、かつたくましく仕事をされる彼の後ろ姿をうれしく感じたのです。
この会社が主に取り扱う広葉樹はケヤキ、トチノキ、ブナ、クリ、ミズメ、、ウダイカンバ、ミズナラ、
サクラ類で岐阜県の荘川方面を中心に全国各地から用材が集荷されます。ほかに外材も扱ってお
り、ホワートオークやアッシュ、ウォルナット、ビーチ、メープル、チーク、ローズウッドなども取引して
います。
これはケヤキの高級材で長さ3.2m、末口直径58cmのものです。このケヤキの赤みが特徴。
しかし現在はケヤキの価格が従来からすれば暴落し、売り物にならないとのこと。
最近はケヤキよりもトチノキの方が人気がある。
ケヤキは和室用で好まれる傾向があり、特殊な注文としては法隆寺の芯柱の受注があったが、
それは15m無節の通直など様々な条件が付いていた。現在来ているのは名古屋城に使うケヤキ
で長さが長いだけでなく、中央での湾曲が要求されており、なかなか利用できるものが見つから
ないそうです。
このケヤキは学生の石丸さんが購入しようかどうか迷っていた? 原木です。
とにかく長く、太い広葉樹ばかり見て圧倒されたかもしれませんが、国産の広葉樹の現状はやはり
外材に圧されています。
たとえばタモ材は、日本のヤチダモよりも中国産やロシア産のタモをツキ板業者が購入するが、
両者とも値段は変わらない。むしろ外材の方が数量も材積も安定して入ってくる。
こちらも外材の勢力に負けている現状がわかります。
次に、平野木材株式会社で、岩出信彦常務さんに原木の入手、販売、売れ筋などについて、
お話をお聞きしました。
最初に次回の競りに掛けられる木材を前に、岩出さんは「当社は広葉樹丸太を岩手県など東北
地方をメインに、もちろん高山市にある県森連の市場からも購入して販売しています」と話されまし
た。以前は持ち込み販売もされていましたが、現在はほとんど無くなり、岩出さんたちが買い付けてきた丸太原木を販売しているそうです。
以前は銘木を含め日本産のケヤキが主流でしたが、現在、ケヤキの価格は最盛期1/3に下落
しており、また建築様式の変化からか、ケヤキ材のニーズがほとんど無くなってきた。
従来は国産材広葉樹の取引を自慢にしてきており、3年前の外材取引量は1割程度でしたが、
現在は売り上げの半分は外材になってしまった。これはお客さんのニーズがウォルナットやローズ
ウッド、ゼブラウッドなどの板材に向く傾向があり、国産広葉樹ではトチノキの板のニーズはあるが
ケヤキの玉杢などはほとんど取引が無くなった。
競り売りが基本で、写真の後ろのものは左から、サクラ、ケヤキ、・・・、クリなどの原木です。
写真右端のクリ材は小さく見えるかもしれませんが、末口径が68cmで長さ5.4mある大木です。
ここでは部分的に相対取引も実施されており、競り売り以外の販売も見ることができます。
買い付けは高山市の家具メーカーの他、関西、静岡、関東からも来ています。
トチノキの板材(製品)です。板材の製品は半分が業者の出品もので、半分が平野木材さんの
出品とのこと。
こうした大径木でさえ、一時期から考えると激安な感じです。
「昔が高かった」と言う人もみえますが、百数十年~数百年の長き年月を考えと、そしてその木
が育つための現場の樹冠面積など、様々なことを考えると、今から真剣に広葉樹施業を考える
ことの価値を再考する必要があると感じます。
今回お世話になりました小林三之助商店様、平野木材様、大変有り難うございました。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。