2012年10月14日日曜日

雑誌『森林技術』10月号の特集

 林業再生講座教員の横井です。

 林業技術者のための雑誌『森林技術』では、毎号、時世に応じた特集を組んでいます。最新号(No.847:2012年10月号)の特集は「伐採地の森林再生、更新・保育技術を考える」で、「再造林放棄地の問題がマスコミや国会で取り上げられて数年。今、その実態はどうなっているのか? そして、林地として更新するために必要な技術・研究成果を紹介します!(森林技術協会Webサイトから)」という内容です。その特集に、「皆伐跡地の天然更新を現場から考える」という拙文を掲載していただきました。

 岐阜県内の針葉樹人工林の皆伐跡地3ヶ所、広葉樹天然林の皆伐跡地3ヶ所 を題材に、皆伐後に放置された林地の天然更新を考えるという内容です。数値によるデータとか、それに基づく図表ではなく、写真を示しながらの解説を試みました。

 意図したわけではないのですが、選んだ伐採跡の現場は、5ヶ所が冷温帯(標高1,000~1,200m)で、1ヶ所が 暖温帯の上部(標高600m)と、ちょっと偏ってしまいました。岐阜県では幸いなことに、人工林を皆伐して放置されているところが、まだ、それほど多くありません(とくに低標高域では)。皆伐がそれほど行われていないといった方が、正確かもしれませんが。また、天然林(多くが壮齢二次林)の皆伐が行われるのは、ほとんどが冷温帯でです。これが、紹介した現場が高標高に偏っている理由です。こんなところ(ブログ)で言い訳?してもと思いますが、字数の関係で本誌に書けませんでしたので。

 標高が高めの現場ということも関係しますが、紹介した人工林伐採跡地には、天然更新によって広葉樹林が成林する可能性(の兆し)がありました。 いずれも、伐採前の林分や伐採地周辺において、種子源(母樹となる広葉樹)が存在していました。一方の天然林伐採跡地では、ササが更新を阻害していました。本誌では、こうしたことを解説しながら、皆伐後の天然更新の可能性や更新補助作業(ササの除去や稚樹の刈り出し)の効果を考えてみました。
 興味のある方は、一度、読んでみてください。ご意見・ご批判も歓迎ですので、気になる点や気に入らない点があれば、遠慮なく連絡してください。


 『森林技術』のNo.843(2012年6月号)の特集には、ものづくり講座の教員・松井勅尚さんの「地産地消~大河の一滴から~」と、アカデミー卒業生・横井敦史さんの「おもちゃのつくり手が考える木のこと森のこと」が掲載されています。こちらもぜひ、ご一読を。