2012年8月10日金曜日

「明方の山村生産用具」から見える山仕事の世界


アカデミー山村づくり講座では、明宝歴史民俗資料館の活用検討会に協力しながら、
地域の文化資源の活用方策について実践的に学んでいます。

8月8日に明宝文化財保護協会の主催で開催された歴史学習会は、「山里の道具考」
と題して、森林組合などで長年作業に携わられ、手作業から機械作業への山仕事の
遷り変わりを実際に体験してこられた2人の方をゲストに行なわれました。

最初に、ヨキやダンギリを使った伐採作業、キンマを使った搬出作業、そしてオガに
よる製材作業までを再現したDVDを見ながら、ゲストお2人に解説していただきました。

















ふだんから里山の手入れや農作業をしている明宝の地元の皆さんでさえ、機械化さ
れる以前の道具を使った林業の一連の作業を知っている人はほとんどいません。
自然の素材を巧みに使い分けるキンマ道の敷設方法、地形や気候にあわせて変わる
キンマの操縦方法、そして大きなダンギリやオガを使う身体の技術まで、興味は尽き
ません。

















講座室には再現DVDで使われた「山道具の一式」が持ち込まれ、実際にさわりながら
質問をしました。さらに資料館の展示室へ行き、「明方の山村生産用具」として国指定
重要有形民俗文化財に指定されている道具の数々を見ながら、あちこちで話の輪が
広がり、関連する炭焼きや木地師にまで話は及びました。

















かつての山仕事を知らない世代には、資料館の民具類は一見するとホコリを被った古
道具のようにしか見えないかもしれませんが、その背後には、こんなにも伝統や技術に
裏打ちされた自然と向き合う仕事の世界がありました。

このようなモノとカタリの豊かな世界を、若い世代にも伝えていく場をつくることが、山村
づくりにも繋がっていくに違いないと改めて思いました。