2012年8月31日金曜日

林野庁経営課からも視察 「施業プランナー 育成研修 第10回」開催

岐阜県立森林文化アカデミー主催
   「施業プランナー 育成研修 」 第10回を開催しました。

 今回は「森林経営計画」を中心に、下野技術主査と横井教授に講義と実習をお願
いしました。

 また、今回は林野庁経営課から松井琢郎課長補佐さまも視察に来られ、研修受講
者もいつも以上に緊張気味。



 最初に、林野庁の松井琢郎組合業務班担当課長補佐から、施業プランナーの
役割について、暖かい期待の言葉をいただきました。



 本日の、森林経営計画を樹立する上で、いかに施業プランナーの存在が重要な
のか。施業プランナーが何を担うのか。熱く語って下さいました。

 さて、ここからが本日の研修の本番です。講義の最初は下野技術主査による
「森林経営計画」です。
 森林・林業再生プランの概要についての話に始まり、森林計画制度の変遷、
森林計画制度の見直し、国や都道府県・市町村・森林所有者などの役割の明確化
を説明しました。
 [ポイント1]市町村森林整備計画のマスタープラン化(ゾーニング、更新基準等)
 [ポイント2]森林経営計画の創設
 [ポイント3]新たなゾーニングの導入
 [ポイント4]森林の取り扱いルールの見直し
 [ポイント5]森林の土地の所有者の届け出義務の新設
 [ポイント6]無秩序な伐採、造林未済地の防止強化
 [ポイント7]早急に間伐を実施するための制度の拡充
 [ポイント8]施業に必要な土地の使用権設定手続の改善
 [ポイント9]計画作業者を対象とする直接支払いの導入



 森林経営計画市町村森林整備計画マッチングしていなければならない。
なおかつ、対象林班で「いつ、どこで、どのような施業を実施するのか」を明確に
して、一体的かつ持続的な森林経営を行うための計画をつくらなければなりません。
・・・・・・これをつくるのが、施業プランナーなのです。

 経営計画には、
  1.森林経営の受委託の促進
  2.施業森林の面的な規律の強化  という2つの柱があります。

 経営計画にはアメとムチがある。~~(下野さんいわく)・・ほんと?
 アメは「森林管理・環境保全直接支払制度」・・・森林経営計画を作成し、市町村長
     に認定を受けた者のみ申請できる。5ha以上申請、10m3/ha。

 ムチは「森林経営計画の実効性確保」・・・施業の実施基準を厳格化(主伐時期の
     制限、更新、間伐下限値、伐採材積の上限など)。補助金返還もあり。

 他に、40年以上にわたる森林経営の基本方針、5年毎の伐採材積、造林面積記載
属地計画、属人計画など、さまざまな説明をしました。



 さて、午後からは、森林文化アカデミーの演習林(約33ha)での実習です。
最初に147林班ニ-7へ行きました。ここは樹齢90年生のヒノキ林です。枝下高は15m
以上あります。DBHは30~45cmくらい。
美濃市のヒノキ標準伐期齢は45年、この林分を見て、「目標林型」となりうるのか?

 研修生は施業図、森林簿、立木幹材積表と輪尺や樹高測定用のバーテックスを
つかって、4班に分かれて検討してゆきます。


 検討後に、各班で検討内容を発表です。
1班: 完成された90年生のヒノキ林。DBHは30~45cm、樹冠長率33%、現時点で
   は少し細いので25年ほど前に本数率40%程度の太い立木の間伐を実施すべき
   だった。形状比は80あるので、今後は択伐林化を目指してはどうか?

2班:理想的な目標林であり、DBH28cm以上の大径木林。樹高22m、枝下高18m、
   将来的にはもう一回間伐して、長伐期施業を目指す。

3班:完成された90年生のヒノキ林。DBHは30~40cm、樹冠長率30%、現時点で
   搬出可能なので、注文材対応の林とし、無理な長伐期は考えない。ここに至る
   前にもう少し頻繁に間伐をして、直径成長を促すべきだった。

4班:DBH34~50cm、樹高23~27m、このヒノキ林は目標林型になりうる。90年生
   であるので、現時点で主伐して、ヒノキを人工植栽する。

 横井先生からは、生物集団としての森林をどう取り扱うか?
 現在の木材価格や木材利用の観点で見れば、にここに至るまでに何回か間伐し
ていれば、もう少し大径木化することができた。皆さんの回答はどれもが正解で、
いかに森林所有者が納得いく提案ができるか。とのアドバイスもありました。


 次ぎに、もっと若い42年生のヒノキ人林を見てみます。ここは147林班二-5
この林を見て、どうすべきか考える。標準伐期齢よりも若い林なので、対象森林の
1/2以上の間伐が必要となる。
 こうしたことを考えながら、最終的に33haの演習林全体を考える経営計画はどう
すべきかを考えます。


 室内に帰ってから、再度、横井先生が「森林経営計画」についての考え方について
確認して、4つの班で「計画的間伐対象森林」がどれくらいになるのか
を検討しました。
 ◆標準伐期齢未満の林は  3.1ha この1/2が間伐対象、約1.6ha
 ◆標準伐期齢以上の林は 28.7ha この1/3が間伐対象、約9.6ha
     合計すれば、11.2ha以上を間伐計画する必要がある。
             一度に5ha以上申請だから、二回に分けるか。一度にするか。

 さて、今回は経営計画のほんの入り口に関する研修でした。今後、施業プランナー
に期待される森林整備は大面積であり、益々大きな責任と期待が待ち受けているの
です。

 みなさん、暑さに負けず頑張りましょう。そして、今回講義して下さった下野さん、
横井先生に感謝、そして東京からお越し下さった松井さん、ご苦労様でした。

 以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。 次回は来週です。