2012年6月27日水曜日

森づくり実習 「下刈り体験」 in 関市洞戸

 エンジニア科1年生の森づくり実習で、関市洞戸のスギとヒノキの人工林へ下刈りに行きました。

 近年、人工造林面積の減少から、こうした実習地を得にくくなっていますが、今回は株式会社カネキ木材の大野社長さんのご厚意で、実習地を確保できました。

 現場に着いたら、恒例の事前準備体操です。ストレッチ運動で体の隅々まで、これからの活動の準備体操をします。

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 一般に、「下刈り」の目的として、
  「植林した苗木に日が当たるように、周りの草やかん木を取り除く(出典:森づくりワークブック)」
 という意味が書かれています。確かにこれは正解ですが、より極端な考え方をすれば、適度に雑草が伸びるならば、雑草と競合して伸びる競争効果から見れば、まっすぐ成長することになりますので、あまり刈りすぎない方が良いようにも考えることが出来ます。
 実際には、通常通り下刈りすることが有効なのですが、下刈りの効果は日照条件だけでなく、
 (1)雑草や蔓が繁茂しすぎて、植林木がまっすぐ生長できない可能性があるので、それを取り除く。
 (2)土壌水分を取り合う競争相手を減らすと同時に、刈った雑草木がマルチングの役目を果たして、土壌水分の蒸散を抑制する。
 (3)刈り取った雑草木が将来的には土壌の理学性や化学性を良くし、土壌動物も増える。
などなど、下刈りの効果は大きいのです。

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 この斜面の上の方はヒノキが植栽され、学生が下刈りしている下の方は昨年植栽されたスギが植わっています。

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 午前中の下刈りが済んだら、午後一番に「鎌研ぎ」です。下刈り鎌(造林鎌)は刃を固定して研がなければうまく研げません。
 学生はあまり経験がないらしく、苦戦していました。粗砥、中砥、仕上砥を使いました。


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 鎌が研げたところで、午後一番の下刈りです。 さすがに研いだ直後はよく切れます。灌木も草も、スパスパです。

 しかし写真をよく見て下さい。雑草木の繁茂はものすごく、胸の高さぐらいにまで立ち上がっています。この中にスギの植栽木があるのです。まるで宝探し状態!

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 上の写真は雑草木にまぎれたスギが、最も見やすい写真ですが、どこにスギがあるのか判りますか?これでも最も見やすい状態ですね、慎重に刈っていく必要があります。


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 雑草木を刈り取ってスギを出した状態です。写真撮影用に刈った雑草木は取り除きました。例年、こうした実習をしてますが、今年の現場は本当に下刈りにふさわしい、下刈りする価値のあった現場でした。

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 最後に、本日の実習の締めくくりとして、鎌研ぎです。一日使った相棒の下刈り鎌を手入れして、収納します。研ぎはやればやるほどうまくなる。
 今回は実習地を提供して下さった株式会社カネキ木材の大野社長さんのおかげで、良い実習が出来ました。有り難う御座いました。

以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。