2011年6月24日金曜日

生産地での製材業の生き残り戦略

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木のコース、木造建築スタジオの授業で住まいの材料学という授業があります。
今年は県内の様々な製材工場を見学させていただき、製材工場の生き残り戦略について、会社の過去から現在までの扱う樹種や、製品の内容までの変化を通して、経営者の地域での生き残りのための変遷をうかがわせていただきました。
東濃地域といえば、役物和室建材として産地銘柄化がなされてきた製材所が多いのですが、今は和室の需要が衰退しどのような事業展開をしているのでしょうか。お伺いした工場では、大径材から多くの部材を木取るラインや過去から蓄積してきた乾燥技術を武器に寺社仏閣用材へとシフトしてきています。
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東濃地域とはいっても建築用として柱ばかりではありません。横架材需要も当然ある訳で、数年前まではベイマツ大径材を梁桁材として製材してきた製材工場では、岐阜地域のスギ材へとシフトしてきています。これは外材原木価格の変化、地産池消などの動きに敏感に舵を取っている事例です。
建築用中小製材工場にとって製材のみする時代はかなり過去の時代であり、乾燥工程は東濃ヒノキの時代から重視されてきました。しかしこれは画一的な柱製材の場合です。ここへきて、多くの断面・材長の種類の必要な梁桁材の発注に対応すべく、乾燥、仕上げ工程のみ業務として行う工場が地域の中核となりつつある事例もありました。
いずれの工場も独自の生産理念を構築しつつも、販売先としてあらゆる可能性を広げておくという生き残り戦略が見えてきます。
地域の林産業を考えるにあたり、生きている現場(工場)がもっとも身近な先生という印象を受けた授業でした。
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